Fuzz Face Mini
- 音の傾向 60年代のファズフェイスをそのまま小型化した2ノブのファズ。太く粗い歪みと、ギター側のボリュームで歪みが一気に晴れる強い追従性が核。素子と元にした個体でFFM1〜FFM6の性格が分かれる。
- こんな人におすすめ ヴィンテージ・ファズの音と反応を、ボードに乗るサイズと現代的な使い勝手(LED・DCジャック・電池ドア・トゥルーバイパス)で欲しい人。シングルコイル+クランチ気味のアンプで最も生きる。
- 操作感 ノブはVolumeとFuzzの2つだけ。音作りはペダルの上ではなく、ギターのボリュームと接続順で決まる。裏蓋の内側にはBIAS調整用のトリマーがあり、鳴りが薄い個体はここで化けることがある。
1. 三大特徴とサウンド傾向
▼円形はそのまま、面積は約1/4に
マイクスタンドの台座が原型と言われる丸型ルックスを保ったまま、直径89mmまで縮めた筐体。オリジナルにはなかったステータスLED・9V DCジャック・電池ドアが加わり、スイッチはトゥルーバイパス。「持ち出せないヴィンテージ」を実用機に変えたのがこのシリーズの出発点だ。
ノブは2つ。音作りはギター側で
コントロールはVolumeとFuzzのみで、EQもトーンも無い。そのぶんギターのボリュームへの追従が広く、絞ればクリーンに近い鈴鳴り、上げれば飽和したファズまで手元で行き来できる。アンプをクランチ気味にしておくと真価が出る、というのが海外レビューの共通見解。
4機種=素子と「元にした個体」で分かれる
FFM1は1970年製のシリコン、FFM2は’66〜’68のゲルマニウム、FFM3はJHF1と同一回路、FFM6はOctavioからオクターブ上を取り除いた回路。同じ2ノブでもゲイン量・低域の出方・粗さが違い、シリーズ内での選び分けがそのまま音の選択になる。
2. 世界のレビュー
▼3. 競合比較
▼| 機種 | 素子 | コントロール | キャラ | 電池駆動 |
|---|---|---|---|---|
| Dunlop FFM3 (シリーズ代表) | シリコンBC108 | 2Volume・Fuzz | 太くスムース手元の追従が広い | ○9V電池ドア |
| MXR Classic 108 Fuzz Mini | シリコンBC-108 | 2+Buffer SW | 丸く粗いクランチワウと共存しやすい | —アダプター駆動 |
| EHX Big Muff Pi | シリコン4トランジスタ | 3+Tone | 分厚い壁の歪み長いサステイン | ○ |
| Warm Audio Warm Bender | NOSゲルマ+シリコン3回路切替 | 4+Version・SAG | 英国Tone Bender系電圧サグ可変 | ○ |
4. シリーズ比較
▼| 機種 | 素子 | 元にした個体・回路 | 音のキャラ | 発売 |
|---|---|---|---|---|
| FFM1 Silicon | シリコンマッチドBC108 | 自社所蔵の1970年製 Fuzz Face | ブライトでアグレッシブ | 2013 |
| FFM2 Germanium | ゲルマニウムわずかにミスマッチ | ’66〜’68のプレシリコン期 | 温かいヴィンテージファズ | 2013 |
| FFM3 Jimi Hendrix | シリコンBC108 | フルサイズ JHF1 と同一回路 | 太くスムース | 2013 |
| FFM6 Band of Gypsys | 非公表 | Octavioからオクターブ上を除いた回路 | 攻撃的で噛みつくような歪み | 2014 |
※FFM4 Joe Bonamassa(限定400本・NOSゲルマニウム採用)は公式の現行ラインから外れており、入手は流通在庫と中古が中心。FFM6SE Chromeは限定300本の別仕様のため、いずれも上表には含めていない。
5. 価格と相場
▼Gear Wise Diagnosis
中古相場:発売から10年以上が経ち、タマ数は多い。国内の中古は概ね¥20,000台前半で、新品との差は数千円という水準まで詰まっている。ゲルマニウムのFFM2は個体差が大きく、シリコンのFFM1・FFM3・FFM6に比べて「当たり外れ」の話が出やすい。中古を狙うなら、裏蓋を開けてBIASトリマーが動かせる状態か、実際に音を出して確認できる店を選びたい。
長期トレンド:発売当初の国内実売は¥12,000〜13,000前後だったが、円安と改定が重なり、現在は¥26,800〜29,800まで上がっている。シリコン系の2機種($159.99)とヘンドリックス系の2機種($179.99)で価格帯が二段に分かれる構造は、公式の定価に沿ったもの。
為替の影響:米国製かつUSD建て定価が基準になるため、国内価格は為替の影響を素直に受ける。海外$表示と国内実売の差は、そのまま円安分と輸入コストと考えてよい。中古は為替の動きから切り離されており、コストを抑えたい場合の現実的な選択肢になる。
6. Echo Notes
— さらに知る- ジミ・ヘンドリックス本人がこのシリーズを踏んだことは一度もない。彼の没年は1970年、Fuzz Face Miniの登場は2013年。FFM3とFFM6は「本人が使った機材」ではなく、本人の音を再現するために作られた機材である。
- ファズフェイスの丸い筐体は、マイクスタンドの台座がデザインの原型と言われる。1966年の登場以来ほとんど変わっていないこの形を、Mini化にあたっても崩さなかったことが、ボード上での取り回しという評価の分かれ目にもなっている。
- Fuzz Face Miniの内部にはBIAS調整用のトリマーがある。出荷時の設定値によって鳴り方が変わり、海外フォーラムでは「サスティンが出ない」個体をこのトリマーを回して解決した報告が上がっている。故障ではなく調整範囲の問題、というのが実態に近い。
